06.失われた「愛への信頼」

私はW氏のくだりで、
偽ツインについて、
ツインレイ女性に対して重要なテーマを残すと記した。

 

 

XにもWによって残されたとも言える重要なテーマがあった。

 

そのテーマは「信じる」ということだ。

 

他のツインレイ女性に当てはまるテーマとは限らない。
これはあくまでX単体のテーマかも知れない。
しかしながら、何かの参考になるかもしれないと思うので、
これも書き残しておくことにした。

 

 

Xはそもそも父の影が薄い。
これはXだけではなく、ツインレイ女性全般によくあることらしい。

 

 

Xの父は、Xが幼少の頃、家を出ていった。
キリンのぬいぐるみを買ってくると約束したままになっており、
Xはその裏切りがトラウマになっていた。

 

 

 

おそらく、他にも多くあった父との悲しい体験をきっかけとして、
自分を大切にしてくれる人ほど信じなくなった。
いつか、裏切っていなくなるんじゃないかと。

 

 

 

つまり、裏切りによって、
自分を大切にしてくれる人ほど、
疑うようになってしまった。
それもただの疑いじゃない。
絶対に味方を信じまいとする執念と呼べるようなレベルで、
「愛」を疑っていた。

 

 

 

信じるがテーマと言っても、信じるべきものはたくさんある。
なかでもXの場合は「目に見えないものを信じろ」
運命に言われているような気配があった。

 

 

 

そのひとつが親しき人からの「愛情」だっただけである。

 

 

 

たしかにXの父は、愛情はあったと思われる。
私も一度だけ電話で話したことがあるが、
愛はあるものの、すごく弱い人だと感じた。

 

 

 

すなわち、愛があっても、それを形にする智慧や力がないのだ。
だから、結果的に、愛を求める人に、
愛を形にして届けることができない

 

 

 

Xの父は仕事ができない人だったようだ。
どんな仕事も長続きせず、賞与は一度たりとも貰えず、
あげく仕事仲間と泥棒騒ぎを起こし、
クビになったこともあったり。

 

 

またあるときは、貧困にあえぐX家のXの母が稼いだ金を持ち逃げ。
そのうえ、幼子の父でありながら、男色の浮気グセもあったりと、
こうして文字にするとまぁ、かなり酷いと言わざるを得ない。

 

 

そのくせ、夢だけは語り、
デザイナーになって親に家を買ってあげるつもりだったと、
語っていたこともあったという。

 

 

 

今も生きているだろうが、
10年以上前に私と電話で話したときは、
介護の仕事を真面目に続けていたようで、
今も弱い人だと感じさせるものはあったにせよ、
もう当時はそこまで悪い人ではなくなっていたようだった。

 

 

 

入籍の報告に近い電話のやり取りだったので、
娘を頼むと言われることぐらい覚悟していたのだが、
それもなかった。なぜかなかった。

 

 

 

しきりに自分のことを話すXの父からは、
無力さや自責の念を感じはしたものの、
もう信頼を自らドブにすてた自分には、
何もしてやれることはないとでも思い込んでいるような、
弱者の中の弱者の諦めを感じた。

 

 

 

私はXのことになると、怒りが強い性質なのだが、
Xを騙したこの男の弱さを、今さら責める気にはなれなかった。
この父を持ったXの悲しみはいかばかりか、という悔しさはあったにせよ、
哀れというか、虚無というか、言葉にならない静かな怒りだった。

 

 

もしいま、Xの実父がこれを見ていて、
ショックを受けるようなら、それも私の本望だ。
厳しい話かもしれないが、
人は、自らの罪を正確に見つめ直すことでしか、
弱さを断ち切る正しい危機感を持てないと、私は考えている。

 

 

Xが父によって長らく抱えてしまった「愛情不信」のことを思えば、
私にこれぐらいのことを言う権利はあるはずだ。

 

 

 

あの電話から10年以上経過している。
過去の古傷をえぐるような手記を残すが、
逆に言えば、古傷を残した側でもあることを忘れてほしくないのだ。

 

 

罪は消えないが、
あれから月日が経ち、
なんらかの愛の形は表現できるようになっているはずだ。
裏切ったことへの謝罪の言葉、反省の言葉一つでもきっとXにとって、
薬のように作用するだろう。

 

 

そのときまた、Xの父も少しは救われるだろうと思う。
別に救われないまま地獄に落ちてもらっても、私は一向にかまわないのではあるが...。

 

 

Xが、失われた「愛への信頼」をどう取り戻していったかは、
またの機会に記すが、
この「愛への信頼」を取り戻させることが、
私のツインフレームとしての一つのミッションだったのではないか。

 

 

今の私は、そんなふうに考えている。