19.他者と同一でありたい思いの過剰発達

近頃のXは、自分自身のことをかなり理解し始めている。
少なくとも、以前ほどは、
他人よりも自分が悪いとは考えなくなった。

 

 

 

 

そのことに関して、
どうしてそう考えられるようになったのか、
Xに聞いてみた。
(それはワトソンがホームズに事件のからくりを聞かせてくれとせがむようだ)

 

 

 

Xは、自分ばかりを悪く考えるクセの奥底を探ったという。
そして気がついたのは、
自分はとある点において優れているという隠れた自覚があったからだという。

 

 


それは優しさであり、優しさの一環として、
相手に劣等感や嫉妬を起こさせないため、自らを下げに下げ、
周囲とのバランスを取ろうとしていたのだった。

 

 

 

 

そこで私は更に聞いた。

 

 


「今もそれは必要?」

 

 

 

Xはきっぱりというわけではないが、
ある種の確信に満ちたような表情で、
「もうやりたくない」と言った。

 

 

 

いまのXは、他人の嫉妬心や劣等感に合わせてしまうと、
自分自身を大切にできない、自己犠牲になってしまうと、
自覚できたようだった。

 

 

 

たしかに、自己卑下をしてもらった側の人は、
同じように行き過ぎた謙遜で合わせてくれることもあるかもしれない。
しかし、それでは自己卑下合戦である。

 

 

 

しかも一部の残念な人は、合わせることもなく、
Xにおだてられて鼻を高くして、
傲岸不遜を周囲に振りまき続ける増長すら見せる。
Xが自己卑下してしまうと、こうした社会悪をのさばらせることにもなる。

 

 

 

その事に気がついたXは、
自分自身だけじゃなく、社会の足を引っ張りたくない思いもあり、
変わろうと決意できたようだった。

 

 

 

自己卑下事件は、こうしてトリックを暴かれた。
時間はかかるかもしれないが、
これでXはまた一つ楽になることができそうだ。

 

 

 

今後、Xはついうっかり自己卑下してしまう瞬間はあるだろうが、
それでも、その都度修正し、やがて収束するだろう。

 

 

 

 

しかし気になることがある。

 

 

 

なぜ、そこまでして、Xはすべての他者に優しくしたかったのか。

 

 

 


それに関しては、私はXの同調意識によるものだと思っている。

 

 

 

 

 

他者との間に壁を作りたくない。
その思いが、血のようにXの全身を巡っており、
支配しているように思える。

 

 

 

 

それはいつもよそよそしかったXの父の影響によるものかもしれないし、
Xという魂が持って生まれてきた性質なのかもしれない。

 

 

 

 

いずれにしても、
この同調意識(他者と同一でありたい思いの過剰発達)が、
境界線問題や、自己卑下問題を作り出してきた。

 

 

 

 

この同調意識は、
Xの抱えてきた問題の根源であり、
他のツインレイ女性と思しき人にも、
問題の根源である可能性がある。

 

 

 

 

すなわち、「女性原理の暴走」である。

 

 

 

本手記は、この女性原理の暴走のからくりを解き明かし、
暴走を食い止める「真理」に迫ろうとしている。

 

 

 

女性原理の暴走のからくりを理解するには、
対の概念になる「男性原理の暴走」と比較するのが、
一番手っ取り早いと思う。

 

 

 

そのため、次からは男性原理の暴走について、
記しておくことにする。